２０００番。優樹様

とある晴れた日曜日。

秋とはいえ暑い昼下がり、冷たい物でも買おうと外に出たのが、

少年の持つ不運だった。

＜残暑の熱中症にご注意を＞

「あちぃな～」

ゴーグルを付けた少年は、そのままプールにでも向かいたいと思いつつ、近所の公園を通りすぎていた。

「ん？」

しかし、公園にふと人影を見つけてしまった。

「あ！ヒカリちゃ～ん！」

憧れの女神様が、ベンチに腰掛け誰かと話しをしていた。

当然のように、少年は駆けだした。

が。

女神の隣にいるのは、勇気の先輩でも白猫風の生物でもなかった。

「∑うっ」

そこにいたのは、少年がもっとも苦手とする…というか敵視する、

金髪碧眼運動抜群頭脳明晰な優男がいた。

思わず速度を下げて近づくと、風に乗って会話が聞こえた。

「え！？タケル君、あの時そんなこと思ってたの！？」

「うん。気づかなかった？」

「全然」

なんの話だろうか、ただヤキモチだけが、哀れな少年の中にあった。

「そっか。気づいてるかなーって少し思ってたんだけど」

「どうしてそう思ったの？」

「だって、ヒカリその時さ」
「ちょっと待ったーーーーー！！！！」

「「大輔君」」

「お前、今」
「奇遇だね。…買い物？」
「ヒカリちゃんのこと」
「私達もアイマートでアイス買ってきたところなの」
「呼び捨てにしただろ！！」

会ってすぐに買い物に行くところ、それも何を買うかまで気づくというところにはまるで突っ込まず、少年は叫んだ。

「うん。したけど」

聞いてないかと思えば、ちゃんと聞いていて、さらっと答えを返した…天使。

「したけどじゃねぇえええ！！」

「あ、そっか。大輔君、まだ呼び捨てにしたところ聞いてなかったっけ」

「みんなといる時は、呼び捨てにしないもんね」

そう言いながら、微笑みあう女神と天使。

「前にもあったよね。太一さん達が初めて聞いた時」

「そうそう。いつからそう呼んでるんだーって、問いつめられたんだよね」

「実際、いつからなんだよ」

どこか世界が違うような２人に、必死で食らいつく少年。

「前に、ピエモンと戦った時の話、したでしょ？その時が、初めて」

「それからは、なんとなくたまに呼び捨て、だよね」

「そうだね。ある程度気持ちが盛り上がってないと、ついつい“ちゃん”付けしちゃうし」

「え？じゃあ、さっきも？」

「うん。あれで結構目一杯の状態だったんだよ？…周りが見えなくなるくらいに」

「ほんとにー？」

「本当」

見つめあい甘い雰囲気を出しながら２人だけの世界へと入り込む女神達に背を向け、少年はとぼとぼふらふらと歩き出した。

「あちぃなー…」

暑さに不意に飛び出た言葉とは裏腹に、少年の心には吹雪が荒れていた…。

しかし少年はまだ気づいていなかった。

帰路にまたこの道を通ることを。

女神と天使が、まるで天国にいるかの如くの笑顔で、少年に話しかけることを。

哀れな少年は、その後アイスが溶けるくらいに、女神と天使に弄ばれたのであった。…合掌。

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ごめん大輔。ごめんなさい。キリリク「タケヒカで見せつけ系」です。見せつけなのかなんなのかわかりませんね…；
そして遅れました。申し訳ありません…。もう残暑じゃないですね…。(苦笑)
しかも最後の一文は…大輔絡みだとついつい。(コラ)
基本ギャグ、ということで許して下さい。。。
では、２０００番ゲッターの、優樹様に、これを捧げます。
リクエスト、ありがとうございました！！！

作成・掲載日：2006/09/26